猫たちの聖夜
- 作者: アキフピリンチ,Akif Pirincci,池田香代子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1997/11/01
- メディア: 文庫
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うん、何回読んでも面白い。流石です、この本。
ジャンル分けをすると推理モノって事になるのかな?ロンドンに引っ越してきた猫のフランシスが主人公で、次々と巻き起こる殺猫事件に挑む話。犯人だってもちろん猫。だけれど初めて読んだ時の中学生の私は、この本の事を微塵も推理モノだとは思いませんでした。だってそれ以上に、その筆遣いが素晴らしすぎるんですよ!猫を熟知した作家による、「これぞ猫!」と言えるような描写とか、ただ推理する事に頼りはしない起伏に富んだストーリーとか。
恐らく私がこの本を気に入ったのには、私がもともと猫好き(犬も好きだけど)という性格もあるとは思いますが、アリバイとかトリックとかを全く使わない(そりゃそうだ、猫だもの)ストーリーが、「さぁ読者の諸君、犯人に挑戦したまえ」っていう妙な気負いを持っていなかったことだと思うのですよ。だってなんかあの手の宣戦布告、正直めんどいじゃん?
そういう推理モノの気負いを持たなくて、でも活劇もあるし笑いもあるし、勢いと緊迫感もあるし。中学生のからっぽな頭(今も)でも十分楽しめるっていうのがとても良かったです。
ものすごい人に勧めて回りたいのだけれど、ちょっとグロ描写があるのよね(^^; 殺猫を猫がやっているから凶器は牙とか爪っていう、刃物に比べてクールじゃない殺害方法(殺害現場)、っていう意味のグロさもあるんだけれど、事件の解決を探るフランシスの夢に出てくる光景が、これまたグログロしい(^^; でもそれさえクリアできる人ならものすごい勧めたいです。めちゃ面白い。
うん、勧めたいからもうちょっと具体的にあらすじを書こう。ネタばれはしないから読んでね。
主人公の猫フランシスが飼い主の、巨漢でとろい独身40男グスタフと共に新住居に着いてみると、その庭には無惨に殺されている同類の死体があった…土地の地理や住人も分からないまま戸惑うフランシスの前で、彼がほのかな好意を抱いていた雌猫を筆頭に、次々と増えてゆく死体。クールな洞察力と好奇心と情熱と若さ(時々欲情)を総動員して真実へと迫るフランシス…やがて、グスタフが改装中のこの空き家と、周囲の猫たち、とりわけ親友の青髭にもまつわる忌まわしい過去と、未来へと向けた壮大な計画が姿を現し始める…。
だめだ、つくづく文才がない。こんなんじゃ絶対、自分だったら食指が動かないよorz
うん、面白いから、読んで。