きみの血を

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)

きみの血を (ハヤカワ文庫NV)

 すごかった。圧巻だった。すげぇや。よくこんな事考えるなー。
 この本については、読書会でM君がすごくたくさんのことを喋っていた。人間の関係について。相手を完全に理解しきることは絶対に出来ない。それでも恋愛として、友情として、人は愛し合い続ける。けれども、この主人公ジョージとアンナの関係ほどにすれ違っていて、それでも成り立つ関係もある。彼らは結婚し、子どもまでもうけた(読みようによっては)。しかし、これは果たして愛し合っていると言えるのだろうか?
 すごく難しい命題だと思う。私は読書会の時には、「うん、いんじゃない?」とか適当なことを言った気がするけれど、じゃあ愛し合っているか愛し合っていないかの境界線ってどこにあるのだろう?
 どこまで相手のことを理解出来れば愛していると言えるのか。それとも全く理解していなくても愛していると言えるのか。そもそも愛するってなんだ?
 
 ちょっと、はっきりした答えは出ません。これは、難しい…。
 ただ、ジョージとアンナの場合は両思いなんじゃなくて、双方向の片思いなんじゃないかな、とうっすらと思います。でもお互いにこの形で満足しているんだよね…心の満足ってどうなって居るんだろう。充足しているのかな?それとも心は重要ではない?
 難しすぎる。こんな難しいことを考えてみたい方には、一読を勧めます。
 これは、とても、難しい。